運転免許取得
昨年9月末、念願だった自動車免許を取得しました。(三浦)
もともと、車の免許を取る気はあまりありませんでしたが(取る気がないというより、障害者ゆえに諦めていたという方が正確かもしれません)、4年前くらいに、ある障害者団体の事務所に見学に行った時に、CP(脳性麻痺)の方が車の運転をしている姿を見て、自分にも運転できるのでは?とずっと引きずっていました。
それからまもなくして、あの乙武君が免許を取ったというTVを見ていっそう思いは大きくなりました。そんな思いに追い討ちを掛けたのが、あたらしくピアの会員となった、半身麻痺の女性が車を運転している姿を見て、ようやく僕の重い腰が上がりました。
健常者の場合、免許を取ろうと思った時は教習所に入校するわけですが、山口県内の障害者の人の場合、入校する前に、まず『山口県総合交通センター』(小郡)で適性検査を受けてから入校となります。適性検査といっても筆記試験があるわけではありません。障害の度合いによって、改造がなくても運転ができるのか?また、改造が必要な場合どんな改造をしたらいいのかというアドバイスをしてもらう為の検査です。ただ、場合によっては運転免許が取れない場合もあると思いますが、前述でも触れましたが、乙武君も免許を取っているのを考えれば、よっぽどの事が無い限り心配は無いと思います。
僕の場合、手が変形しているし、握力にも不安がありましたが、改造なしのMT車(ミッション)でも運転可能という診断を受けましたが、運転中に関節が痛くなって操作を誤ってはいけないので、AT(オートマ)限定で免許を取ることにしました。(ATでも操作を誤る可能性はありますが、MTよりは運転操作は楽に出来ます。)
教習所で初めて車に乗ったときは10キロで走行しただけも、初めて体感するスピードに身体が固まってしまいましたが、何度か乗っているうちにスピードにはすぐに慣れました。しかし、一番苦労したのが、左折とバックでした。
当時、リウマチの症状が右肩に出ており、握力は右のほうが強い為、無意識に右肩に力がかかっていたのか、左折する時に激痛が走り、タイミングが上手くつかめずに何度も脱輪しました。(不思議と右折時は痛みはさほど感じませんでした。今は、手術をして痛みもなくなり、それほど苦労は感じていません。)首のほうは、もう何年も前から、真横までがギリギリ動かせる範囲だったため、バックのときの後方確認はサイドミラーとバックミラーが頼りだったため、感覚を掴むまで時間が掛かりました。
そのため、補習が9時間くらいありましたが、仮免許試験、(これに合格をすれば路上で教習を受けられます。)卒業検定(筆記試験と実技試験に合格をしたら自動車学校を卒業。)、本試験(山口県総合交通センターで筆記試験。ここで合格すれば念願の免許証が交付されます。)といった節目は一発合格でした。
免許取得まで4ヶ月くらい掛かりましたが、移動の範囲が格段に広がりました。免許を取る前は電動車いすで30分掛かっていたところが今では5分で移動可能となりました。なんといっても、暑さや寒さの影響が掛からないといった事も大きな収穫です。
運転免許に限らず、我々障害者が行動を起こすとき、様々な不安や危険が付きまといますが、そこで、『障害者だから…』と諦めたりしないで欲しいです。人は失敗してこそ成長をしていくのではないかと僕は思っています。
身体障害者マークについて
この四葉のクローバーのようなマーク(身体障害者マーク)は肢体不自由の人が運転していることを周りに示し、安全運転を促すものです。
身体障害者マークは平成14年6月の道路交通法改訂を機に導入されました。このマークはまだまだ世間に浸透していないのではないかと思います。というのも、このマークを表示することは義務ではありません。高齢者のドライバーが『もみじマーク』をつけるのに抵抗を感じる方がいるように、障害者マークをつけることに抵抗感がある人がいるのかもしれませんね。
周りの運転者はこのマークが表示されている自動車に、幅寄せをしたり、割り込みをした場合、1点の累積点と5万円以下の罰金を課せられます。
代わりに車椅子マークをつけて運転している人も多いような気がします。ですが、車椅子マークには上記のような特権?はありません。(ちなみに僕は両方つけています。)
車を紹介します。(新道)
車に手を置いた微妙なポーズで隠していますが、既にボディに傷が付いてたりします。首から提げているドッグタグのようなカードが車のキーで、指先一つでロックのON OFF が できます。
車椅子からベッドやイスに移る要領で座席に座ります。僕の車には付いてないのですが、運転席窓側の天井に取っ手がついてたら便利かも知れません。
運転席に移り終わり車椅子を積むために若干座る位置を変え姿勢を整えているところです。この段階で後部座席に積んである保護用のバスタオルを直したりします。
膝上を経由して車椅子を後部座席に運んでいるところです。天候が良くない日等はタイヤの汚れがヒドイので腹から膝にかかるようにバスタオルをかぶります。
僕の場合は左手でアクセル、ブレーキを操作するので、常時右手のみでハンドルを操作します。なので片手でも大きくハンドルを切ることができるようにハンドグリップが付いています。写真では握っているので見えませんが、福引を回す取っ手のような感じです。
車のアクセル、ブレーキレバーを真上から撮ったものです。左手のみで操作できるよう奥(写真では上方向)に倒せばアクセル、手前(写真では下方向)に引けばブレーキと兼用となっています。慣れない内はレバーの加減を掴みづらく苦労したようです。その他にもウィンカーやハザードランプ、クラクション操作もレバーに生えたスティックやボタンで行うことができます。
やっちゃいました。^^;
豆知識
車の免許取得時や、自分の体に合った車に改造をする場合助成金が出るのをご存知ですか? もし、これから免許取得に挑戦してみようという方は下記の制度を参考にしてみてはいかがですか?
身体障害者自動車改造費助成 ※改造に着手する前に申請が必要です。
身体障害者の方が就労に伴い自動車を取得する場合、その自動車を改造するのに必要な経費を助成します。
- 助成を受けられる方
- 身体障害者手帳を所持する方(所得制限あり)
- 助成額
- 100,000円以内
リフト付き自動車改造費助成 ※改造又は購入の前に申請が必要です。
車椅子を使用する身体障害者を介助する者が運転する自動車を、身体障害者の方が車椅子のまま乗降できるリフト付き又は、超低床に改造及び購入するのに必要な経費を助成。
- 助成を受けられる方
- 身体障害者本人又は身体障害者と生計を同一にされる方。(所得制限や障害の等級、過去7年の間に助成の有無等があります)
- 助成額
- 前年の所得税が課税されていない(家族全員の場合)世帯 400,000円以内
- 前年の所得が課税されている(一人でも課税された場合)世帯 200,000円以内
自動車運転免許取得費助成 ※申請は自動車学校入校前に必要になります。
社会参加のために自動車の運転が必要な方のために、免許所得の為の費用を一部助成します。
- 助成を受けられる方
- 本市に居住地を有し、公安委員会が行う適性検査に合格し、次の1.または2.に該当する方。
- 新たに第1種普通自動車免許を取得しようとする1〜3級の方。又は、4〜6級で運転可能な自動車の種類に限定条件を付された方。
- 受障に伴い既に第1種普通自動車免許に運転可能な自動車の種類に限定条件が付された方。
- 助成額
- 上記1.の場合 助成対象額費用の1/2 ※100,000円が上限。
- 上記2.の場合 8時間以内の補習料金。
- 申し込み お問い合わせ先
- 市役所 高齢・障害福祉課 電話 0832-31-1917
最後に
今回、僕(三浦)と新道が免許を取った事で『自分も!』と思った人が、少しでも後に続いて頂ければ嬉しいです。そして、僕たちでわかることであれば何でも相談に乗ります。どうぞお気軽に声をかけてください。